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日本人のブランド品好きは世界中で知られているが、その購入ルートは様々だ。百貨店ばかりでなく、量販店やディスカウントショップでもエルメスやヴィトンの高級バッグが販売されているし、さらに安く購入したいのであればネット通販やオークションという方法もある。しかし正規輸入代理店以外の販路に流れている商品の中には、偽物が多数含まれているという事実がある。
偽物であることを知りながら本物として売ることはもちろん違法であるが、気を付けなくてはいけないのは、プロのバイヤーでさえも仕入れた商品を偽物と見破れずに本物として売っていることが珍しくないということだ。
間違いのないブランド品の仕入方法は、ブランドメーカーから正規代理店の認定を受けて商品を供給してもらうことだが、それができる業者は国内で一社限定、または数社に限られている。それ以外の業者は並行輸入ルートに頼って商品を輸入することになるが、その過程で中間業者が精巧な偽物を入れてしまうと、末端の小売業者はそれを見破ることができずに本物と信じて売ってしまうのだ。
過去にはそれで、三越やダイエーなどでも偽物のエルメスを販売して社会的な信用を失ったのは有名な話(偽エルメス事件)である。
最近ではスーパーコピーと呼ばれる非常に完成度が高い偽物商品が海外の中小工場で生産され、日本にも多数出回っていることから、プロのバイヤーでさえも偽造技術の進化に追い付くことが難しくなっているのだ。このような偽物ビジネスが横行している分野は、バッグや時計などに限らず、金券、自動車の部品、生鮮野菜に至るまで広範囲に及んでいて、巨額の闇市場を形成している。ネット取引が普及して売手と買手とが顔を合わせない商談が増えたことも偽物が急増している背景にはあるが、それらの犯罪を阻止するために鑑定業が注目されていて、最近ではブランド鑑定士になりたいという人も増えている。では、どうすれば鑑定業が営めるのだろうか?そこには意外な業界構造が潜んでいる。

【真贋鑑定ビジネスの意外な判定基準】
ネットオークション上では多数のブランド品が出品されているが、それが本物であることを証明することはじつに難しい。「ブランド鑑定士」という正式な資格や職業は現実には存在しておらず、質屋などプロの古物商が独自に偽物品の研究をして鑑定眼を磨いているのが実態。一般の消費者は、彼らの鑑定技術を信頼しているが、買取り経験が豊富な彼らですらも偽物を見破れないことはあるのだ。
権威あるブランドメーカーでは、中古品の二次流通マーケットを原則として認めてはいないため、外部の中古業者に真偽の鑑定方法を指導したり、鑑定士としての認定資格を発行することはないのだ。
ただし例外的に協力的な姿勢を見せている相手が警察で、日本では警視庁が2004年から「予備鑑定員」という専門家を養成している。これは時計やバッグなどの偽ブランド品の摘発を専門とした捜査官で、各ブランドメーカーからの講習を受て偽造技術の見分け方を習得し、「偽物を販売しているらしい」と内偵中の店に出向いて実際に商品を確認した後、確かに偽物だという判定ができれば、その場で業者を現行犯逮捕するというものだ。しかし予備鑑定員の数はまだ全国的に少なく、具体的な成果を挙げるまでには至っていない。つまり、それだけブランド品の真贋鑑定は難しいということでもある。
ここで混同してはいけないのが「鑑定」に対する目的と解釈だ。一般の消費者が鑑定結果に対して求めるのは「この商品は確かに本物です」というお墨付きだが、ブランドメーカーや警察が行なう鑑定作業は「この商品は偽物だ」という判別だけである。いくつかのチェックポイントをみて本物には絶対ない特徴が確認できれば、それは「本物ではない」と断言することができる。しかし偽物の特徴が見あたらない中古品だからといって、それが“100%本物であることの証明にはならないのだ。ブランドメーカーが「本物」として保証しているのは、正規の販売代理店に陳列されている新品のみである。
ブランド品の買取りをする中古業者では、正規販売店から新品購入した本物をバラす(縫製を解く)などして徹底的に特徴を分析しているという。ヴィトンであれば、金具の色と形状、革の色、ポケットの大きさ、付属品、シリアルナンバー、商品タグ、生地のつなぎ目、感触、匂いまでもチェックするという。グッチであれば、使用している繊維素材と縫製、使用している糸が違うとしている。しかしそれはあくまでも判定する業者の主観に基づくもので、ホンモノに使われている繊維や糸の種類や産地を特定したわけではないし、またそれができなければ真贋判定の信憑性は低いといわざるをえない。
2000
年にプラダのニセモノが国内に大量に出回り、被害額も推定で4000億円という事件が起きた。ニセモノは並行輸入されたもので、保証書や通関書類まで偽造されていたことが被害を大きくした理由といわれている。この事件を受けて、並行輸入業者の団体である「日本流通自主管理協会」は、ブランド品の真贋判定を行う「協会基準判定士」を養成、ニセモノの流通を販売店レベルで阻止するという対策をとっている。しかし、そもそも並行輸入自体がブランド本家のお墨付きを得ているものではない以上、当然その判定といっても協会独自の基準に基づいたもので、あくまでニセモノの流通を防ぐための自主的な努力の域にとどまっている。

【ブランド品の真贋を鑑定する最新技術の動向】
ブランドメーカーにとってニセモノが大量に出回ることは、ブランド価値を落とすことに直結するため、何としても偽造を防がなくてはならい。そこで商品の中にはメーカーの関係者のみが知る本物だけの特徴が各所に盛り込まれている。しかし偽造業者はそれらの特徴を巧みに見破り、それと同じ特徴を持つニセモノを短期間で作ってしまうために、メーカー側でも偽造対策となる製造過程の工夫や技術を次々と生み出していかなくてはならない。
偽造防止として商品に組み込まれてる技術には各社さまざまなものがあるが、たとえば「FILA」では、ネームロゴに織り込まれた一本の糸上に文字が印刷されている。この糸の幅は 0.3ミリなので、それを肉眼で確認することはできない。その印刷技術を持っているのは一社だけで、糸自体も特殊でコストも高い上に、織り込むには相応の技術が必要という。こうした偽造防止が施されていることは、どのブランドメーカーも公開はしていない。しかしドルチェ&ガッバーナ社は、偽造防止システムを導入していることをそのサイト上で発表している。
同社の偽造防止技術は、商品に貼付されたホログラムや付属する証明書、さらに本物であることを証明する特殊な糸を織り込んだラベルなどさまざまな要素で成立っている。製品ごとにこれらの要素を組み合わせていて、しかもシーズン毎に修正していくという徹底ぶりだ。ホログラムはイタリアの国立印刷造幣局によって開発されたもので、そこには紙幣の偽造防止技術が応用されている。偽造防止の情報はシーズン毎に、キットとして各国の税関当局に提供されている。

 Dolce & Gabbana
の偽造防止システム
http://jap.dolcegabbana.it/corporate.asp?page=Brand_DolGab

新しい偽造防止技術の動向については、どのメーカーも水面下で情報収集をしていて、自社製品の中に盛り込むことには積極的である。そこに表には出てきにくい偽造対策市場が潜んでいるのだが、その中にも最先端のITが導入されている。たとえば、大量のニセモノ被害に見舞われたプラダでは、偽造防止を目的にしたとはうたっていないが、他ブランド会社に先駆けて商品に微小な無線チップ(RFID)を組み込みはじめている。素材の選択や縫製の工夫だけでは、どうしてもニセモノが現われてくるために、電子的に本物であることの証を確認するためのツールとしてRFIDがブランド業界では注目されている。ブランド品以外で偽造防止を目的としたRFIDの利用は、ビンテージ楽器や美術品の分野での例が見られる。
ただしRFIDの導入にはシステムの構築が必要で、コストがかさむのが難点だ。そこで低コストで利用できる新しい偽造防止技術が求められるわけだが、すでにアパレル向けにはさまざまな技術が開発されている。ニッパツ(日本発条)とクラレが開発した「アルタテックス(ALTATTEX)」は、同社以外には入手できない特殊な繊維で作られた偽造防止繊維ラベルで、専用のビューアーでラベルを見ると色が変わって見えるという性質を持つ。ネームラベルや洋服に縫い付けるタグなどに織り込めば、衣料品などの真贋を店頭でも簡単に確認できるようになる。ビューアーはカード型をしたもので電源は不要、持ち運びも簡単で、販売店店頭で使うことができる。ラベルの製造に新たな設備を必要としないため、コストも低くおさえられている。繊維素材はクラレが供給している。

 ニッパツ/ALTATTEX
http://www.nhkspg.co.jp/info-sec/jp/products/info/altattex_jp_rev0.pdf

ニッパツではアルタテックスに先立って、家電製品から自動車部品、医薬品化粧品と広く利用できる、ホログラム技術を応用した偽造防止製品「トラストグラム」を開発販売している。これはシールになっていて、専用のビューアーで見ることで真贋判定が簡単にできる。アルタテックスのビューアーと同じくカード型で、店頭でもどこでも手軽に判定ができるということで利用が進んでいる。シールは一回はがせば再利用できないようになっている。ホログラムの素材および製造方法は特殊で、そう簡単には偽造ができないものだという。ビューアーによる目視チェックだけでなく、同社独自開発のセンサーによる自動チェックもできるようになっている。

 ニッパツ/トラストグラム
http://www.nhkspg.co.jp/info-sec/jp/sol/top.html

ホログラムは紙幣や金券に利用されるなど、偽造防止技術としてはかなりポピュラーになっている。それだけに偽造品も出廻るようになっていて、一昨年にはパスポートなどの公文書に利用されるホログラムの偽造シールが中国で作られ、日本で売りさばかれるという事件が起きている。そのため、より複雑で高度な偽造防止ホログラム技術の開発が求められている。現在最も新しいホログラム技術は、大日本印刷が開発した、目で見るだけで真贋が即座に判定できて偽造がきわめて困難という「モーションイマージュ(TM)」だ。

 大日本印刷/モーションイマージュ(2006/8/30同社プレスリリース)
http://www.dnp.co.jp/jis/news/2006/060830.html

ホログラム以外にも偽造防止を目的とした新技術が続々と開発されている。レーザー光線で文字や絵を刻印できる特殊な繊維(レーザーマーキング繊維)、ブランド品のタグにレーザーで透かしを入れるレーザー加工技術、DNAをラベルやカードに組み込んだDNAシール(鑑定には専用のハンディ機器が必要)、
無色のインクにDNAを混ぜたDNAインク(専用のリーダーが必要)などが国内で開発され、商品として提供されている。これらの開発企業には専門の大手もいれば自社技術を応用した中小企業もあり、いずれも主な売り込み先としてブランドメーカーを狙っている。いかにして自社の偽造防止技術をブランドに採用してもらえるかの競争が始まったようだ。できるだけコストが安く、鑑定は簡単で、偽造が困難という条件を満たした技術を開発した会社がブランド偽造対策市場を制することになる。



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